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日本最大級のファッションアパレル情報サイト【apparel-web.com】のブログにて、ファッション・ビジネスに関する、情報を発信しています。 |
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■ファッション・トレンドの生まれかた■
ファッションビジネスの特徴は、何といっても「トレンド(流行)」があるということです。
毎年毎年、いろんなトレンドが生まれては消えていきます。
「ハヤリスタリ」に大きくビジネスの成否が左右される、それがファッションビジネスなのです。
ところで、この「トレンド」というものは、いったいどのようにして生まれてくるのでしょうか?
どこからともなく、自然発生的に生まれてくるのでしょうか?
私たちが、毎年「今年流行っているもの」として、受け取っている「トレンド」の大半は、実はある決まったプロセスに従って生み出されているのです。
要するに、業界側が意図して仕掛けているものなのですね。
では、どのようなプロセスでトレンドは生み出されるのでしょうか?
そのプロセスを、実売期から逆算して、時系列でみてみると、
1.流行色の方向付け→インターカラー(国際流行色委員会)など
……実売期の約2年前
2.ファッショントレンドの方向付け→トレンド情報会社
……実売期の約1年半前
3.素材の方向付け→プルミエール・ヴィジョンなど
……実売期の約1年前
4.デザイナーのコレクション発表、アパレル企業の展示会開催
……実売期の約半年前
5.小売店での商品展開
……実売期
となります。
トレンドは大きく、以上の5つのプロセスを経て、生み出されているわけですね。
私たちが「今年のトレンド」として実際ショップで商品を見る、実に2年も前から、トレンドを生みだす作業は始まっている、というわけです。
では、それぞれのプロセスについて、みてみましょう。
■流行色の方向付け■
第1ステップは、インターカラーによる「流行色」の決定です。
インターカラーとは、「国際流行色委員会」と呼ばれ、世界16ヵ国(アメリカ / イギリス / イタリア / 韓国 / スイス / スペイン /タイ
/ 中国 / デンマーク / ドイツ/ トルコ / 日本 / ハンガリー / フィンランド / フランス / ポルトガル)からなる、国際間で流行色を選定する唯一の機関のことで、1963年に発足した委員会です。
インターカラーでは、実シーズンの約2年前に、加盟各国が提案色を持ち寄り、6月に春夏のカラー、12月には秋冬カラーを選定しています。
このインターカラーによる選定色を基に、世界各国でトレンドカラーの方向付けが行なわれていくわけです。
ファッションビジネスの世界で、最も早いタイミングで発信されるものが、カラートレンド情報です。
いわば、トレンドを生み出すスタート地点ですね。
■ファッショントレンドの方向付け■
第2ステップは、トレンド情報会社による、ファッショントレンドの方向付けです。
インターカラーの選定色を受けて、欧米各国のトレンド情報会社がカラーの他、素材、シルエットなど、総合的なファッショントレンドを予測し、情報を発信していきます。
このトレンド情報会社は、「スタイリング・オフィス」とも呼ばれ、それぞれ独自の「トレンドブック」なるものを発刊しています。
「トレンドブック」には、カラー、素材、プリント、スタイリングなど、それぞれのトレンド予測について書かれていて、価格も高額です。
「スタイリング・オフィス」は、ファッションの都「パリ」にオフィスを構えているところが多いですね。
「トレンド・ユニオン」、「プロモスティル」、「ネリーロディ」、「カルラン・インターナショナル」などのオフィスが有名です。
この時期、欧米の(主にパリ)トレンド情報会社から発信されるトレンド情報を参考に、デザイナーは「デザイン」を、テキスタイルメーカーや、ヤーンメーカーは、「素材」を開発していくのです。
また、日本においては、インターカラー(国際流行色委員会)の日本代表団体である、「社団法人 日本流行色協会(JAFCA)」から「アドバンスカラー、ファッションカラー」が発表されるのも、この時期です。
■素材の方向付け■
第3ステップは、素材の展示会開催による、素材の方向付けです。
実売期の約1年半〜1年前、まず「ヤーン展」、糸の展示会が開催されます。
パリで開催される「エキスポフィル」や、フィレンツェで開催される「ピッティ・フィラティ」などが有名です。
ここで、トレンドカラーを意識した、アパレルの根本原料である「ヤーン」が決まってくるわけです。
その後、服地の展示会である、テキスタイル展が行われます。
国際的に影響力のある展示会としては、リールで開催される「ティッシュ・プルミエ」、コモでの「イデア・コモ」、ミラノでの「モーダ・イン」、フィレンツェの「プラトーエキスポ」、そしてパリで開催される「プルミエール・ヴィジョン」がメジャーどころです。
これにより、テキスタイルのトレンドが決定づけられます。
■デザイナーのコレクション発表、アパレル企業の展示会開催■
第4ステップは、具体的なトレンドの発信です。
ヤーン展、テキスタイル展を基に、実売期の約半年前から開催されるのが、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、東京、マドリードなどで開催される、「デザイナー・コレクション」です。
この頃になると、「VOGUE」などのファッション誌を通じて、一般の人たちに向けて、ファッショントレンド情報が発信されるようになってきます。
また、各アパレルメーカーの展示会も順次スタートしていきます。
それに伴い、国内の一般ファッション誌からも、トレンド情報が発信されるようになり、徐々に消費者の間にトレンドが浸透していくようになります。
■小売店での商品展開■
第5ステップは、実際に店頭でお客さまに販売する、最終ステップとなります。
トレンド情報が消費者の間にしっかり浸透した頃に、各ショップの店頭に商品が並びはじめ、実売期に突入することになります。
2年前のインターカラーの流行色決定に始まったトレンドを生み出す流れが、いよいよ実際の商品となって、私たちの目の前にお披露目されるのですね。
ここまでが、ファッション・トレンドを生み出すプロセスです。
だいたい、ご理解いただけましたでしょうか?
さてと、ここからが本番です。
このように2年の歳月を掛けて生み出されてきたトレンドの数々。
実際、ビジネスとして成功しているのでしょうか?
その答えは…?
「アタリもあれば、ハズレもある」
なんですね…。
実際の現場では、すべてが消費者に受け入れられるとは限らないのが現実なのです。
いくら、ファッションビシネスのプロ達が、2年も前から、「今年のトレンドはこれだ!」といって焦点を定めて、流行をつくり出す作業をしてきたとしても、実際、消費者にそれが受け入れられるとは限らないのです。
また、ストリートファッションに代表されるような、トレンドに関係なく、消費者側から発信されるファッションも現れはじめ、SNSなど普及により、それらの情報がまたたく間に、消費者の間に行き渡る時代になってきました。
2年も前から現在のことを予測しビジネスに繋げていくのが、とても困難な時代になってきたのですね。
そこで、アパレル業界に、急速に台頭してきたのが、「SPAモデル」というものです。
今やアパレル業界では、この「SPAモデル」が主流となってきています。
「SPAモデル」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
■SPAモデル■
SPAとは、”speciality retailer of private lavel apparel” の略語で、日本語では「アパレル製造小売業」といいます。
アパレルメーカーやアパレル小売業が、自社企画ブランドを開発し、直営店を出店して、直接消費者に販売する形態のことをいいます。
日本では、ワールドの「オゾック」や、ファイブフォックスの「コムサ・イズム」などが有名ですね。
海外ブランドでは、SPAの創始者ともいえる「ギャップ」が代表的です。
SPAの特徴をひとことで言うと、「短サイクルでのモノづくり」が挙げられます。
店頭でのPOSデータなどを参考に、「いま売れるているものを、いま作り、いま店頭に投入する」という仕組みが、SPAの最大の特徴ともいえるものです。
SPA以前は、先に書いたように、実売期の1〜2年も前に商品企画を開始していましたが、このようなのんびりとしたサイクルは、今や過去のものになりつつあります。
アパレルメーカーの展示会も実売期の半年前というタイミングから、期中展や現物展など、限りなく実売期に近いタイミングで行なわれることも多くなってきました。
「アタリもあれば、ハズレもある」、ファッションビジネスの世界で、出来る限りハズレを無くそうというのがSPAモデルというわけですね。
ちなみに、私はアパレルメーカーに勤めていたので、このSPAモデルの出現前と出現後、まさに「ファッションビジネスの激動の時代」を実際の現場で体験しています。
いま思うと、SPAなど無い時代は、現場もの〜んびりしたものでした。
仕事のサイクルが半年ごとにはっきりしていて、集中すべき時期を過ぎれば、比較的手の空く時期、というのもあったのです。
ですから、そんなときは、みんな有給休暇をとったり、ここだけの話ですが、ムダ話をしたりして過ごしていました(^_^;)
デザイナーさんやMDさんなんかも、欧米のトレンドブック片手に、「来年はこんな感じかしらん?」なんて、のんびりしたものでした。
しかし、SPAの時代に突入して、一気に現場の雰囲気は変わりました。
とにかく現場は、時期に関係なく常に忙しくなりました。売れるものを求めて、常に集中していなければならなくなったのです。
特に変わったのは、企画を立てる際に参考にする媒体です。
以前は、トレンドブックなど、実シーズンの1〜2年前に出る、いわゆる先行情報を基に、じっくりと時間をかけて企画を考えるのが主流でした。
それが今では、実シーズンの2〜3ヶ月前に出る、書店で一般に売っているファッション雑誌を参考に、商品企画を考えることすらあります。
書店でファッション雑誌を買い込んできて、ターゲット層とマッチした社内の女性に、「この中で、君だったらどの服を買う?」と聞いて、即座にその写真を切り抜き、イメージマップを作成して、2週間程で市場に投入するという荒業を行なっているMD(マーチャンダイザー)もいるほどです。
良いか悪いかは別にして、「売れてナンボ」の世界、ファッションビジネスの世界も常に変化しているのですね。
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