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■市場をリサーチする■


顧客ターゲットの絞り込みができたら、次にやっておきたいことが、【市場リサーチ】です。


現代社会は、消費者ニーズの多様化・個性化、競争の激化など、ショップを取り巻く環境が激変していますね。


そんな中、経験や勘だけを頼りに、出店の判断を下すことは、非常に危険なことなんです。


ですから、開業にあたっては、まず徹底的に情報収集をすること!これが肝心です。


『市場(マーケット)のことは、市場(マーケット)に訊け!』


この言葉、聞いたことがありませんか?


こんな言葉があるくらい、市場(マーケット)情報は重要なんですよ。


事前にしっかり市場リサーチをして、適正な判断を下せる「情報」を得たうえで、出店の判断を下すようにしましょう。


それが開業への近道です。


では、市場リサーチの方法について説明しますね。



■市場リサーチの方法■(ニ次データ)


市場リサーチに際して、収集するデータは、「一次データ」と「二次データ」の二つに大きく分類されます。


「一次データ」とは、自分のショップに関係する事柄に対して、自ら調査し、収集したデータをいいます。


「二次データ」とは、自分のショップには無関係な、政府機関や調査機関等が、公表しているもののことです。


一般的に、一次データの収集には、調査のために時間と労力が掛かります。


ですから当然、それに伴ってそれなりのコストが発生します。


ですから、まずは二次データをできる限り収集して、そのデータを検討した後、必要に応じて、一次データの収集を行なっていくのが一般的な方法です。


まずは、政府機関などの統計情報を入手することから始めましょう。



■二次データだけでもここまでわかる■


ほとんどコストのかからない、二次データの活用だけでも、ショップを取り巻く市場環境について、実に多くのことをを把握することができます。


たとえば…。


1.出店したい地域の人口動態の把握

各市町村には「住民基本台帳」という、その地域内に住む人の住民票を取りまとめたものがあります。


そして、それは一般の人でも簡単な手続きで閲覧することができます。


この住民基本台帳を基に、世帯別、年齢別、性別などのデータを集計することにより、その地域の人口動態を把握することができます。


例えば、何歳くらいの人が多い地域か?お年寄りが多いか?子供が多いか?男女比率はどうか?などです。



2.出店したい地域の市場規模の推計

さらに、総務省や各都道府県発表の「家計調査報告書」の消費支出額データを、参考にすれば、その地域の市場規模(何にいくらお金を使っているか)を、推計することができます。


具体的には、住民基本台帳から得られた商圏内の【世帯数】に、「家計調査報告書」の【用途品目別支出額】を掛けることで、その地域の住民が、どのようなことにいくらくらい、お金を使っているのか?衣服代は?というようなことが推計できます。



3.出店したい地域の競合店の分布状況

新規出店する場合、その出店を考えている場所に、何度も足を運び、綿密な調査をするのがセオリーとされています。


しかし、近くならともかく、離れた場所となるとなかなか大変ですよね。


でも、出店したい地域の地図と電話帳があれば、その地域の競合店の分布状況を、だいたい把握することができるのです。


たいていのショップは、電話帳(タウンページ)に掲載しています。


ですから、出店したい地域の電話帳(タウンページ)を見て、競合店を地図上にプロットしていくことで、出店したいと思っている場所は、競合の多い「激戦地区」か?それとも「空白地域」か?


その地域の競合状況を、把握できてしまいます。


その後、競合店のホームページを見たり、電話して取扱商品を調べたりすれば、その地域に行かずして、詳細な競合状況を知ることも不可能ではありません。


このように、誰にでも手に入れる二次データからでも、さまざまな情報を得ることができます。


ぜひ、活用してくださいね。



■市場リサーチの方法■(一次データ)


二次データのリサーチを終えたら、次に一次データの収集を行ないます。


この一次データを収集するための調査方法としては、「質問紙調査法」、「面接調査法」、「観察調査法」という、3つに分類されています。


それぞれの特徴を簡単にご説明しますと…、



1.質問紙調査法

質問紙調査法は、質問事項を用紙に記入し、アンケートスタイルで調査対象者に回答してもらうという方法です。



2.面接調査法

面接調査法は、いわゆるインタビューのことで、調査対象者との面談形式で行なわれるものです。


この面接調査法の代表的なものは、集団面接法(グループ・インタビュー)と呼ばれるもので、何人かの調査対象者を座談会形式で集めて、調査員が司会役となり、色々な質問をし、それをもとに調査対象者がグループ内で自由に意見を出し合ってもらう方法で行ないます。


この集団面接法の長所は、各調査対象者それぞれの反応をじかに観察することができ、また、全体の議論から発展した新たな「事実」を発見できることにあります。



3.観察調査法

観察調査法とは、その名の通り調査員が街に繰り出して、現実の事象を観察して、実態を把握することです。

その方法としては、街頭観察調査と店舗観察調査が代表的です。


A.街頭観察調査

街頭観察調査とは、いわゆる【タウンウオッチング】のことで、街に出て大勢の人々人を観察し、情報を収集する調査のことです。


たとえば、商業施設や繁華街などに出かけ、ショッピングしている人々の行動を観察したり、身につけているファッションをチェックしたり、目的に応じてさまざまな調査が行なわれています。


街頭調査には、あまりコストがかからないため、誰もが手軽に行なうことができます。


しかし、明確な目的意識をもって実施しないと、有効な情報をまったく得られないので注意が必要ですよ。



B.店舗観察調査

店舗観察調査は、調査員がショップの店頭に出かけていき、来店客の行動を観察し、消費者が手に取った商品、購入した商品を分類してカウントしたり、実際にお客として、その店で買い物して、接客を体験したりして、この調査から得られた情報を、自店の店舗運営に役立てていくのものです。


中でも、競合店との比較調査に主眼を置いたものを、【ストアコンパリゾン】といい、ショップ運営をするにあたり、欠かせない調査方法となっています。


この店頭観察調査のメリットは、実際の消費者の行動を、目の前で観察できることにありますが、各消費者の多様な行動の調査結果をまとめるのには、大きな手間がかかります。


以上3つの調査方法の中で、手軽に行なえる方法としては…、


「観察調査法」(タウンウォッチングとストアコンパリゾン)があげられるかと思います。


ですから、新規出店をする場合、

【タウンウォッチング】と【ストアコンパリゾン】は、最低限、行なってくださいね。



■効果的にリサーチを行なうための3つのステップ■


さんざん足を棒にして歩き回ったわりには、あまり効果が得られない‥。


初心者が陥りがちな、市場リサーチのパターンです。


なぜ初心者は、効果的なリサーチが行なえないのか?


それは、リサーチの3ステップを理解していないからです。


市場リサーチには、次にあげる3のステップがあるんです。


1.事実を発見する
   ↓
2.理由を推測し、検証する
   ↓
3.行動を決定する




この3ステップにそって、リサーチに取り組まないと、ただ漫然とリサーチだけを行なってしまうことになって、結果的に時間と労力のムダになってしまいますので、この3ステップを、頭に入れておいてくださいね。



1.事実を発見する

第一ステップは、まず、現状はどのような状況かを把握することです。


ありのままの市場を見て、聞いて、肌で感じて、いま市場で何が起こっているのか、その「事実」を発見していきます。


ですから、リサーチの際に、先入観を持たず、自分の直感を信じてリサーチしてください。


例:「街で帽子をかぶっている人をやたら見かけた」という事実を発見!



2.理由を推測し、検証する

第二ステップは、第一ステップで発見された事実について、なぜそうなるのか? その理由を、自分なりに推測し、検証していきます。


例:「ファッションとして帽子は必須アイテムになりつつあるから」と推測し、業界紙で売れ行きデータを検証。



3.行動を決定する

第三ステップは、第二ステップの結果をもとに、では、自分のショップはどうするのか?


どう行動すべきか?を判断し、決定します。


新規開業にあたり、消費者のニーズに加えてウォンツ(顕在化していないニーズ)をリサーチによって探りだし、その欲求をどのようにして満たしていくかの行動指針を決定するステップです。


例:「帽子の仕入量を当初予定より増やす、必ずディスプレーに帽子を使う」ことを決定。



市場リサーチは、一次データの収集を通じて、このような3つのステップで行ないます。


3つのステップを理解したうえで、効果的な市場リサーチに取り組みましょう。


 
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